2014年御翼12月号その4

【チェックリスト―謙虚】――― ゲーリー・チャップマン 

 

ゲーリー・チャップマン『愛という名の贈り物』(いのちのことば社)より
 謙虚といっても、抽象的なことではあまり意味がありません。ごくふつうの日常的な状況において、いかに謙虚にふるまうかで、愛する人々を勇気づけるか、傷つけるかが決まります。
1 誰かが、自分の成功談や手柄話を話しはじめたら……
(ア) 途中でさえぎって、相手のさらに上をいく印象的な話を披露する。
(イ) 口には出さないが、大した話だとは思ってないことをそれとなく態度で示す。
(ウ) 興味を示し、質問をする。
2 職場で、重役がやってきたら…
(ア) 他人の業績を自分の手柄にするといった手段を使ってでも、自分を良く見せようとする。
(イ) 話のきっかけを与えられたら、自分がやっている仕事について話す。
(ウ) ほかの人々がいかに会社に貢献しているか、を指摘する。自分については行動で示す。
3 自分が誰よりも抜きんでたいと思っていた分野で、家族や親しい友人が何かを達成した場合……
(ア) その業績のあら探しをして、自分に注意を向けさせようとする。
(イ) その業績を無視する。
(ウ) お祝いを言い、その人がやりとげたことをまわりの人たちに知らせる。
4 自分の嫌いな誰かが何かに失敗したら……
(ア) その人が失敗したことで、自分がどんな利益を得られるかを考える。
(イ) そのことを、さりげなくほかの人に伝える。
(ウ) その人を肯定する機会を探す。
5 自分の弱みや失敗に気づいたとき……
(ア) 誰のせいで、そんな弱みができたのか考える。
(イ) そのことについては、いっさい考えないようにする。
(ウ) 今後、その弱点を直すための方策を講じる。
aは0点、bは1点、cは2点で計算してみてください。合計点が高いほど、あなたは真の謙虚さへの道を進んでいます。

 次にあげる三つの現実について、よく考えてみてください。それが真の謙虚さを実践して生きるための鍵である。
1 私には、これまで与えられなかったものは何もない(今あるものは全て与えられたもの)
2 天地万物について、私には限られた知識しかない
3 私の人生は、自分以外の何かに完全に依存している
 この三つを自覚すれば、謙虚さを欠くことはできない。特に、キリストにより罪の赦し、永遠の命が与えられていることを知り、自分に価値を見いだせる者は、他人をも愛する謙遜さを持つ。                                                                                                                                                                                                                                  
   
 謙虚さを身につけるための最初の一歩は、自分の傲慢さを自覚することだとチャップマン氏は言う。二十世紀初頭の作家G・K・チェスタトン(カトリック教徒)は、数多くの著作で知られている。このチェスタトンの言葉に啓発されてガンジーは、インドにおける英国の植民地支配を終結させる運動の指導者となった。かつてロンドンの『タイムズ』紙がチェスタトンに原稿を依頼したときのことである。天地万物が抱えている問題とは何か″というテーマのシリーズに寄稿するよう頼まれた彼は、こんな返事を書いた。「それは私です。よろしく、G・K・チェスタトン」と。私たちは、他のすべての人々と同じように他人を傷つけたり、過ちを犯したりする可能性がある。自分の中にある傲慢を自覚することが謙遜への第一歩であり、それができない者の救いは、後回しになってしまう。

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